イベント2021 - 特別講演

世界アルバトロスデー&シーバードウィーク

開催日時 2021年6月19日(土)10:00〜10:40
講演時間 40分
オキノタユウの親子

オキノタユウの親子(写真:長谷川 博)

 大型の海鳥オキノタユウ(沖の大夫)は、羽毛を採るために1,000万羽近く捕獲され、1949年には地球上から絶滅したと信じられた。幸い、1951年に伊豆諸島鳥島で10羽余りの生存が「再発見」され、それ以来、保護されてきた。

 ぼくは、再発見から25年後の1976年に、この鳥を地球上に甦らせるための保護研究に着手し、多くの人々と協力して、1)繁殖成功率を改善し、2)土壌浸食の恐れのない安全な場所に新しい営巣地を形成するなど、積極的保護計画を実行してきた。それらが実を結び、2018年に鳥島集団の総個体数は5,000羽を超え、繁殖つがい数も1,000組を超えた。

 鳥島の繁殖集団は2005年から2018年までの14年間に平均して毎年9.1%ずつ指数関数的に成長したから(7.9年で倍加)、2026年には10,000羽に達すると期待される。保護研究に着手した1976年、総個体数は200羽弱だった。それから50年後に10,000羽を超え、オキノタユウは種の再生に向けて離陸するにちがいない。絶滅危惧種は消滅してはいない。長い年月と多くの努力を傾ければ、それらを必ず再生へと導くことができる。


プロフィール


長谷川 博(はせがわ・ひろし)

東邦大名誉教授・NPO法人OWS会長

1948年静岡県生まれ。1971年京都大農学部卒、1976年同大学院理学研究科博士課程単位取得退学。1977年から東邦大理学部に勤務し、2014年に定年退職。現在、東邦大名誉教授、NPO法人OWS会長。1976年から2018年まで伊豆諸島鳥島で絶滅危惧種オキノタユウの保全研究をつづけ、吉川英治文化賞、日本学士院エジンバラ公賞、沼田眞賞、山階芳麿賞などを受賞。近著に『アホウドリからオキノタユウへ』(新日本出版社、2020)。


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