特別講演

開催日時 2021年6月19日(土) 13:00〜13:30
講演時間 30分

トロール漁船に群がる海鳥


 世界の海鳥約360種類のうち30%程、アルバトロス(アホウドリ)類にいたっては22種類のうち15種類で絶滅が危惧されています。
海鳥個体数減少の原因ワースト3は、漁業による混獲、外来種、気候変動であることが、近年の研究で判明しました。混獲は漁業で使われる針や網にかかってしまう事故で、アルバトロス類では毎年少なくとも推定10万羽、5分に1羽が混獲により命を落としています。

 漁法によってはすでに効果的な混獲対策が科学的に実証されており、対策を使うことが国際的に義務付けされている漁法もあります。しかし、規則順守のモニタリングが不十分なため、未だに多くのアルバトロスが犠牲になっています。

 混獲問題の解決に向けて対策実施の向上を図るには、現場の漁業者のみでなく、国際漁業管理機関、各国政府、研究者、サプライチェーン、消費者による連携が不可欠です。私たち日本の消費者も知らないうちに混獲問題に加担してしまっていますが、消費者として何ができるかを含め、講演会に参加される皆さんと一緒に考えていければと思います。


演者プロフィール


鈴木 康子(すずき・やすこ)

バードライフ・インターナショナル

幼いころから野生動物に興味を持ち、野生動物医学・生態学を学ぶために渡米。特に鳥類に魅せられ、海鳥の研究を始める。アメリカ西部のアジサシ類・ウ類の保全と、水産資源回復の間の軋轢に関する研究には14年間従事。2018年に帰国し現職に就く。海鳥と漁業の共存を目指すため、バードライフのグローバルチームの一員として、日本の漁業関係者、サプライチェーン、行政などへの働きかけを行っている。野生生物学博士。