日本の絶滅危惧海鳥類

準絶滅危惧種(NT)

写真:佐藤遼太郎

種名

和名 オオセグロカモメ
学名 Larus schistisagus
英名 Slaty-backed Gull

絶滅危険度

日本(環境省):準絶滅危惧種(NT)

法的保護

 特になし。主たる繁殖地は天然記念物、特別鳥獣保護区、特別保護区、国定公園などに指定されている。

繁殖分布と個体数の現状と動向<sup>1)2)</sup>

 カムチャッカ〜サハリン〜千島列島、北朝鮮沿岸などアジア極東沿岸。日本では主に北海道に繁殖する。知床半島、ユルリ・モユルリ島、大黒島、天売島が主たる繁殖地で、利尻島、釧路沿岸、小樽から積丹沿岸などにも繁殖する。ユルリ・モユルリ島では1980年代には両島合計2000巣程度を最大として減少し、2010年台は100巣以下隣、大黒島では1980年台はじめの3000巣から1990年代には6000〜8000巣に増加したのち、2010年頃から急に減り始め、2010年代後半には30巣程度まで減った。天売島では1970年代までは100巣以下だったのが1990年から2000年初めには1000巣をこえたが、その後減少し2010年台には300巣前後となった。知床半島も同様で1990年代から2010年までは1000巣程度だったがその後減少し、2010年代後半は500巣前後となった。ここ30年の増加率(logr)メジアンと95%信頼区間(カッコ内)は-0.05(-0.07〜-0.03)である。

生態<sup>3)</sup>

 大型のカモメ科で、雑食性。平均値は翼長44.2cm, 嘴峰長56.0mm, 翼開長1.35m 、体重1265gであり、オスの方がメスより大きく、体重はオス1336gメス1123g、嘴長はオス58.4mmメス52.2mmである。集団繁殖し、崖や急斜面などの地上に枯れ草など巣材を集めた巣を作る。4月末から5月中旬90.2〜86.6mlの卵を3卵産み、25〜30日でふかし、ふかしてから45日以上で巣立ちする。繁殖期にはマイワシ、イカナゴなどを自力で捕食するが、あるいは漁船から落ちたまた漁港や漁船で投棄された底魚(ホッケ、メバル類、タラ類)もよく食べる。潮間帯の貝類や人でも食べるほか、ゴミ捨て場で残飯あさりもする。オスはウトウやウミネコなど他の種類の海鳥のひなも食べる。冬は本州でもよくみられる。

個体数減少の要因

 オジロワシによる捕食や撹乱が大黒島で報告されている<sup> 4)</sup> 。知床半島、ユルリ・モユルリ島でも捕食や撹乱が観察されているようである。

保護活動の歴史

 天売等ではここ10年ほどノラネコの捕獲・馴化・譲渡及び飼い猫の不妊化が行われ、ノラネコはほとんど見られなくなった。ドブネズミのモニタリングが行われている。ユルリ・モユルリ島ではドブネズミの駆除が実施された。

個体数に影響を及ぼす恐れのある要因

 ノラネコやドブネズミによる捕食と撹乱及びオジロワシによる捕食・撹乱。他、餌となりうる投棄魚の減少などが考えられる。

主な保護課題

 オジロワシによる捕食・撹乱はウミネコ、ウミウなど他の海鳥にも影響を与えている可能性があるので十分な議論が必要である。

執筆者

綿貫 豊(北海道大学水産科学院)

参考文献・資料

1) 海鳥コロニーデータベース 環境庁生物多様性センター https://www.sizenken.biodic.go.jp/seabirds/ 2021.5.20
2) Senzaki M, Terui A, Tomita N, Sato F, Fukuda Y, Kataoka Y, Watanuki Y (2019) Long-term declines in common breeding seabirds in Japan. Bird Conservation International doi:10.1017/S0959270919000352
3) 綿貫豊1987 カモメ属における食性の種間、個体群間及び個体群内変異と繁殖 北海道大学博士論文
4) 大門純平・伊藤元裕・綿貫豊 (2019)北海道大黒島における海鳥の現状 山階鳥類学雑誌51:95-104