講演会2024

対面&オンライン

開催日時 2024年6月16日(日)10:30〜11:00
講演時間 30分
オキノタユウ(アルバトロス)海上の群れ

海上の群れ

 海鳥類は、一生のうちの少なくとも一部を海洋環境に依存して生活している。海洋は人間が住む陸地から離れているので、人間活動の影響は海鳥類に及ばないと、多くの人は思うだろう。しかし、それは誤りで、海鳥類の個体数は1950年当時と比較して7割近く減少し、現在、世界の海鳥類は360種のうち約3割(日本列島で繁殖する45種余りのうち約半数)が絶滅の危機に瀕している。

 海鳥類は繁殖地の島で、かつて人間によって大量に捕獲され、繁殖活動を妨害・撹乱され、島に侵略的外来種を持ち込まれて繁殖集団が壊滅的被害を受けた。また、繁殖地近海や越冬海域での原油流出事故によって大量に死亡し、陸地から海洋に流入するプラスチック類を誤食して死亡し、健康被害を受けている。さらに、沿岸域から外洋域まで拡大した大規模漁業によって混獲の犠牲になった。

 今後、気候変動にともなう海洋環境の大規模な変化や繁殖場所の喪失、洋上風力発電の影響が懸念される。海鳥類を窮地から救おう。


プロフィール


長谷川 博(はせがわ・ひろし)

東邦大名誉教授・NPO法人OWS会長

東邦大学名誉教授、NPO法人OWS会長。京都大学大学院で動物生態学を専攻した後、1976年から伊豆諸島鳥島で絶滅危惧海鳥オキノタユウの繁殖状況調査に取り組み(幸運にも1977年に東邦大学理学部に職を得て)、この鳥の野外保全研究を2018年まで継続した。この42年間で、鳥島集団の総個体数は200羽弱から5,000羽余りへと約25倍に増え、地球上でのこの種の再生が確実になった。吉川英治文化賞、日本学士院エジンバラ公賞などを受賞。



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