講演会2023

対面&オンライン

開催日時 2023年6月18日(日) 11:00〜11:30
講演時間 30分

刺し網漁で混獲されたビロードキンクロ(Julius Morkūnas撮影)

 漁業による混獲は世界の海鳥が直面している三大脅威の一つで、海洋環境においては最も深刻な問題です。毎年少なくとも60万羽の海鳥が、混獲により命を落としていると推定されています。多様な漁法の中でも特に混獲リスクが高いのは、はえ縄漁、トロール漁、刺し網漁であることが分かっています。

 はえ縄漁では科学的に実証された効果的な対策があり、特に国際的に管理されているマグロはえ縄漁では、対策の実施が義務付けされています。トロール漁でも対策を使うことによって、大幅な混獲削減に成功した事例があります。その一方で、刺し網漁では未だに効果的かつ実用的な対策がないのが現状で、様々な国で対策開発の研究がされています。日本では、北海道の刺し網漁業者と協働のデータ収集や、水族園において混獲対策の開発実験が行われています。

 今回の講演では混獲対策の世界の動向や事例を紹介するので、消費者の皆さんが様々な漁法や混獲問題に関心を持ってもらうきっかけになればと思います。


演者プロフィール


鈴木 康子(すずき・やすこ)

バードライフ・インターナショナル

バードライフ・インターナショナル、海洋・海鳥保全プログラム
野生動物医学・生態学を学ぶために渡米。アメリカ西部における海鳥保全と、水産資源回復の間の軋轢に関する研究に14年間従事。2018年に帰国し現職に就く。海鳥と漁業の共存を目指すため、グローバルチームの一員として、日本の漁業関係者、サプライチェーン、行政などへの働きかけを行っている。野生生物学博士。



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