講演会2023

対面&オンライン

開催日時 2023年6月18日(日)14:00〜14:30
講演時間 30分(Zoom出演)

 地球温暖化による生物多様性の喪失を防ぐべく、温室効果ガス削減に有効とされる再生可能エネルギーへの期待が高まっている。日本では今後は洋上風力発電(以下、洋上風力)の導入が加速する。洋上風力は、その建設や運用に際し海洋生物に様々な影響をおよぼす。海鳥は洋上風力から次の3つの影響を受けるとされる。風車との衝突、風車を回避することの影響、そして餌場の喪失である。これらの影響については、情報不足や調査技術の制約から未知な点も多い。さらに、海洋環境や餌資源量の変動は一般に大きく、海鳥の分布や行動も柔軟に変わりやすい。そのため、洋上風力の事前の高精度なリスク推定は非常に難しいとされる。今後急速に導入が進む日本においては、洋上風力の運用に際しあらかじめ影響があるものと想定する予防的な運用や、建設前だけでなく運用後にも継続的なモニタリング調査を行い、その結果に合わせて運用方法を柔軟に変える順応的な運用が不可欠である。現在はこうした運用を支える制度的枠組みがないため、今後はそれらの構築や整備も必要である。


演者プロフィール


風間 健太郎(かざま・けんたろう)

早稲田大学人間科学学術院・准教授

1980年埼玉県生まれ。2010年北海道大学水産科学院にて博士号を取得。海鳥を主な研究対象とし、メインフィールドである北海道利尻島のウミネコ営巣地に学生時代から20年通って地道な生態研究を続ける傍ら、日本鳥学会 風力発電等対応ワーキンググループ長、環境省および経済産業省洋上風力発電環境影響評価検討委員などを務め、風力発電が鳥類に及ぼす影響の評価手法や影響軽減策についても研究している。



講演要旨一覧